子供の歯の健康を守りたい
お子様はどうして歯医者が嫌い?
不安や先入観から恐怖心を抱いてしまいます。
お子様のほとんどが、歯医者に対して「痛い」「嫌い」「怖い」というイメージを持っています。確かに、麻酔をするときに少し「チクッ」と感じるかもしれませんが、麻酔が効いてくれば痛みはほとんど感じないはずです。ではなぜ、お子様は歯医者に対してそこまで嫌悪感を抱くのでしょうか?治療の話をする前に、まずはそのことについて考えてみましょう。
不安によるもの
大人でも、初めての場所に行ったり、面識のない人に会ったりするときなど、少なからず緊張感を抱きますよね。ましてやその場に行く理由や、その人に会う理由が不明な場合などはとくに不安を感じます。お子様にとってもそれは同じことです。知識や経験がない分、その緊張や不安はより大きいのです。
先入観によるもの
ご両親の中には、実際にご自身が子供の頃に受けた治療の経験から、「歯医者嫌い」になってしまった方もいらっしゃると思います。しかし、現在の歯科治療の技術や環境は向上し、痛みの少ないさまざまな方法が生まれています。どうかお子様に先入観を与えないようにしてください。
お子様はなぜむし歯になりやすい?
お子様は、甘く粘着性のある食べ物(=糖)を好みます。
お子様は大人よりも、甘く粘着性のある食べ物を好みます。糖分を多く摂ればそれだけ、お口の中のむし歯菌の活動が増し、むし歯ができやすい状態となります。さらに、お歯磨きが嫌いなお子様も多く、ひとりでは上手に歯を磨くことが難しいため、お口の中はむし歯ができやすい環境になります。また、子供の歯(乳歯)は、大人の歯(永久歯)に比べると歯の抵抗力も弱く、むし歯菌が好む条件が揃ってしまっているのです。
乳歯はむし歯になっても大丈夫?
いいえ。永久歯の道標となる乳歯こそ大切です。
乳歯はいずれ永久歯に生え変わるのでむし歯になっても大丈夫じゃないか、とお考えの方もいるようです。お子様のあごの骨は体の成長にあわせて大きくなります。それとともに、6歳頃には乳歯から永久歯へ生え変わります。永久歯は、もともとそこに生えていた乳歯を道しるべにして生えてきます。
例えば、乳歯がひどいむし歯になってしまったり、歯がいつまでも抜けずにいたりすると、生えてくる歯の妨げになり、永久歯が違う場所に生えてしまうことがあります。また、乳歯が早く抜けてしまった場合も、その隙間に周りの歯が寄ってきて永久歯の生えるスペースがなくなってしまい、結果違う場所に生えてきてしまいます。
このように、乳歯のむし歯が原因で、永久歯の歯ならびが悪くなることがあります。乳歯といえど、むし歯になって良いというわけではありません。大切なお子様の永久歯のためにも、普段から歯磨きを行い、むし歯になっていないかをよく観察してあげましょう。
いつから歯磨きを始めればいい?
歯が生え始めたら行ってください。
乳歯は、生後6ヶ月頃から生えはじめ、2歳くらいまでに上下あわせて20本の歯が生え揃います。そして、6歳頃から永久歯に生え変わっていきます。乳歯は永久歯に比べると、エナメル質も象牙質も半分の厚みしかなく抵抗力が弱いため、むし歯になりやすく進行も早いという特徴があります。
正しいケア方法を知りたい!
成長段階に合わせた正しいケア方法があります。
乳歯は、生後6ヶ月頃から生えはじめ、2歳くらいまでに上下あわせて20本の歯が生え揃います。そして、6歳頃から永久歯に生え変わっていきます。乳歯は永久歯に比べると、エナメル質も象牙質も半分の厚みしかなく抵抗力が弱いため、むし歯になりやすく進行も早いという特徴があります。
歯磨き
なんといっても、毎日の歯磨きに勝る予防方法はありません。お子様の歯は成長が著しく、お口の中の状況は日々変化していきます。小さいお子様の場合はとくに、自分でケアするのは難しいため、周りの大人がバックアップしていく必要があります。成長に合わせ、その時期に適したケアをしましょう。
【段階別ケア方法】
成長段階 | お子様 | 保護者 |
---|---|---|
乳児期 | 白っぽいカスが時々たまる | 水やぬるま湯で湿らせた布でカスをふき取る |
生後6~9ヶ月 | 前歯が生えてくる | 歯の汚れを布やガーゼなどでふき取る |
生後1年~ | 歯の数が増え、揃い始める | 歯ブラシを使って歯磨きを開始する |
3歳~ | 自分で歯磨きを始める | まだ上手に磨けないので、大人が手伝い、歯磨き後はよくチェックする |
5歳~ | 毎食後(朝・昼・晩)「1日3回磨き」を習慣づける | 大人による仕上げ磨きで、磨き残しがないかよく見てあげる |
6歳(永久歯が生えてくる頃) | 強くて大きい6歳臼歯(永久歯)が生えてくる | 6歳臼歯は食べカスも溜まりやすくむし歯になりやすいので、気をつけて磨くようにする |
6歳臼歯について
6歳臼歯の生える場所は、歯が生え揃ったお子様のお口の中の一番奥です。永久歯でいうと、一番奥から2番目の歯になります(親知らずが生えている場合は3番目)。歯ならびや咬み合わせの基本ともなる、とても大切な歯です。6歳臼歯は奥にあるので歯ブラシが届きにくいだけでなく、生えてすぐはほかの乳歯と高さが違うためとても磨きづらくなっています。歯の溝も複雑で深くなっているので、乳歯の高さと揃うまでは歯ブラシを口の真横から入れて、丁寧に磨いてください。
乳歯のむし歯になりやすいところ
大人の歯(永久歯)と同じく、乳歯にも磨きづらい場所があります。このような場所には特に注意して磨いてください。
大人が行う歯磨き方法
●寝かせ磨き
お子様をひざに寝かせ、上から口の中を覗き込むような姿勢であごを手で押さえながら磨きます。上の前歯は上唇の裏の筋に歯ブラシが当たらないように、人さし指でガードしながら磨いてください。奥歯は人さし指で頬を膨らませて磨いてください。
●立たせ磨き
寝かせ磨きを嫌がるときは、お子様を前に立たせ、後ろからお口の中を覗き込むような姿勢で磨いてください。
フッ素塗布
フッ素には歯を強くしたり、むし歯菌の活動を抑えたりする働きがあり、むし歯予防に高い効果を発揮します。生えて間もない歯ほど、その予防効果は高いと考えられています。
フッ素のむし歯抑制効果
- 歯の表面(エナメル質)が溶け出し、初期のむし歯が発生した状態です。
- フッ素を塗布すると、フッ素が歯の表面に吸着されます。
- 初期のむし歯部分に唾液中の成分(リン、カルシウムなど)が取り込まれ、フッ素が再石灰化を促進します。
- 初期のむし歯が再石灰化され、歯が修復されます。
綿球法
球状の綿にフッ素塗布液を含ませ、歯に軽く押し当てて塗る方法です。
トレー法
トレーの中に液をしみこませた濾紙などを入れ、口にくわえさせて塗布します。
シーラント
むし歯になりやすい奥歯の溝をシーラント(接着力のあるプラスチック)で埋めます。咬み合う歯の面の凸凹に汚れが溜まりにくくなり、むし歯を予防することができます。生えて間もない6歳臼歯はとくに溝が深くむし歯になりやすいので、大切な永久歯を守るためにもシーラントで埋めてしっかり予防しましょう。
生活習慣
むし歯の予防には歯磨きやフッ素塗布などでむし歯になりにくい環境を整えることも大切ですが、強く健康な歯にするための食生活もとても重要です。健康な体や歯をつくるためにも、1日3食、時間を決めて栄養バランスの取れた食事をしっかり食べましょう。
歯に良い栄養素
●良質のたんぱく質
歯の基礎をつくるための材料です。卵、魚、豆腐などに含まれています。
●カルシウム
歯の石灰化のために必要な材料です。牛乳、煮干し、チーズなどに含まれています。
●リン
歯の石灰化のために必要な材料です。卵、チーズ、ご飯などに含まれています。
●ビタミンA
歯の表面(エナメル質)の強化を助ける材料です。卵、ホウレンソウ、ニンジンなどに含まれています。
●ビタミンC
歯の象牙質の土台を仕上げる材料です。ホウレンソウ、さつまいも、キャベツなどに含まれています。
●ビタミンD
カルシウムの代謝や石灰化の調整をします。卵、牛乳、魚などに含まれています。
よく噛んで食べる
よく噛むことにより、唾液がたくさん出てきます。唾液にはお口の中の食べカスや細菌などの汚れを洗い流す働きがあり、むし歯予防につながります。
おやつ(間食)は時間と量を決める
おやつをだらだら食べていると、常にお口の中がむし歯菌にとって好都合な状態になり、むし歯ができやすくなります。食べるときは時間と量を決め、食後はしっかり歯を磨きましょう。
クセ
乳歯は非常に柔軟なため、指しゃぶりや歯ぎしり、のどや鼻の病気による口呼吸などのクセが歯ならびや咬み合わせに影響します。このクセを見つけたら、やめるように誘導してください。どうしてもクセが治らない場合は、当院にご相談ください。
お子様のお口の健康を守るために、まわりの大人はむし歯の予防や治療について正しい知識を身につけ、お口の管理をしてあげてください。また、お子様に歯の大切さを理解してもらい、自発的にケアできるように日頃から気をつけて接してください。とはいえ、お子様に言葉の意味や真意を理解させることは簡単ではありません。お子様のお口のことでお悩みの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。